【作家インタビュー⑦】タビノコトバ連載作家Ryuji Atsumiさんインタビュー

タビノコトバの過去の採用作家へのインタビュー記事

2016年から2年に1度開催しているタビノコトバは、現在第3回の募集期間中です。
【第3回タビノコトバ募集要項】旅の文章・写真を本にまとめて展示会を開催

過去のタビノコトバに掲載された作家にインタビューし、旅を文章にすることについて語ってもらう企画の第7弾。
連載作家として当HPで「男と女」をテーマに連載小説を執筆してくれたRyuji Atsumiさんに、旅を文章にすることへの思い、書くことの楽しみについて話を伺いました。

※過去のインタビュー記事※
【作家インタビュー①】茂木麻予が語るタビノコトバとは(前編) 【作家インタビュー②】山崎陽が語るタビノコトバ 【作家インタビュー③】タビワライフが語るタビノコトバとは 【作家・支援者インタビュー④】Rucocoが語る「旅を文章にすること」 【作家・支援者インタビュー⑤】加藤亜由子が語る「表現すること」 【作家インタビュー⑥】タビノコトバ連載作家Mikiさんインタビュー

第2回タビノコトバ掲載作家インタビュー⑦Ryuji Atsumiさん

写真だけでもなく、文章だけでもない何かを表現できる

ーもともと文章は書くような表現活動はしていたのですか?

旅に限らず印象的な出来事があったときは、日記みたいなものは書いていました。飲みに行って、こんなことがあったというようなものですが。

 

ー日記のように自分だけの文章を綴っていたところから、どうしてタビノコトバに応募しようと思ったのですか?

写真と文章がセットというのが、自分にとって新しい結合だったからです。
文章と写真を組み合わせるというのが自分の発想になくて、自分が表現したいことと繋がったことが大きいように感じます。写真だけでもなく、文章だけでもない何かを表現できると思いました。

ーもう少し具体的に言うと?

例えば、インスタグラムで素敵な写真をアップしている方は大勢いますが、自分が興味関心をもつのはそこに文章やコメントが添えられてあるものです。私自身がそういう表現に惹かれることもあり、写真と文章がセットにある表現が自分に合っていると感じて作品づくりをしました。

 

ーAtsumiさんが採用された作品について、ここが引っかかってこれを表現したかったみたいな解説はできますか?

漠然と自分の中に残っている記憶や想い、そういった断片的なものを拾い集めて作ってしまってもいいんだな、と感じました。
日記はノンフィクションでなければならないという固定概念がありますが、作品は自分の中にある何かをバラバラに拾い集めて組み合わせることで作ってしまっていいんだな、というのが新しい発見だったし、楽しいことでした。

 

質問する内容が突拍子もないことであるほど面白い

ー実際に採用されてみて文芸誌に掲載されて、展示会で展示され、同じように採用作家と出会い、連載記事をもった。どんなことが印象に残っていますか?

編集者とのやりとりが印象に残っています。自分が用意した作品を通していろいろな話をする過程で、他の人の意見を聞きながら作品に向き合うことが楽しかったですね。

 

ー文章作品を一緒に考えてつくる機会ってなかなかないですもんね

はい、それが楽しい作業でした。

 

ー作品を完成させていく中で難しいなと思ったことはありましたか?

短歌や俳句は正しき枠があるからこそ楽しい。編集者が伝えてくれたことで枠ができ、自分の中で漠然と生み出したものを考え直したり整理することで形が見えてくる。これも新しい発見でした。

 

ーAtumiさんは展示会にも来て頂いて、トークイベントにも登壇して頂きました。率直な感想はいかがでしたか?

他の方の作品と作者をセットで視ることによって、作品をより身近なものに感じましたね。
異国の写真を展示していた方がいましたが、もしそれだけを見ていたら「すごいな」で終わっていたことが、その方が隣にいることで作品の顔が見えて、異国とか国内とかそんな枠が取り払われるような感覚がありました。

 

ートークイベントで作品や旅について話してみて、なにか感じたことはありましたか?

言いたいことが自分の中にも実はたくさんあるんだなと感じました。同時にそれを聞いてくださった方は、私の意見をもとに、ご自身でもなにか考えたり言いたいことをたくさんもっているんだろうなと感じました。
ああいう大勢の方を巻き込んだ話では質問が重要だと思っていて、質問をする内容が話している人物にとって突拍子もないことであればあるほど面白く、お互いにとって新しい発見があるのではないかと思います。

 

ー確かにそれはあるかもしれませんね。僕はついつい流れに沿った質問をしようと思いがちですが、突拍子もない質問って場を一気に活性化させたり前のめりにさせますよね。

ちょっとこれは関係ないかもしれませんが、世の中がこういう事態でミュージシャンがライブをネット配信したりしていますよね。私もライブをよく見に行くので視聴してみるのですが、すぐ飽きてしまって見ていられないんです。
ただ、生配信中にコメントなんかを流せるんですが、そういうやりとりなんかを拾ってくれる動画なんかは飽きなかったり、自分のコメントを読み上げて答えてくれるみたいなことがあるとすごく繋がっているなと感じたりします。
例えば写真集についても、写真集だけをドンと出してしまうことは、ミュージシャンが一方的にライブ配信だけをしているような状態なのかなと思うんですね。トークイベントの機会は双方向にとって有意義だったと思いますし、そういう機会があり続けて欲しいなと思います。


ー双方向は重要ですよね。第3回のタビノコトバのヒントになりそうなお話です。

 

旅とマネキン人形

ー完成した冊子を読んでみてどんなことを思いましたか?

ページをめくっていく中で、企画者の皆さんが掲載の順番なんかも考えていらっしゃるんだろうなということを感じました。出会いがあって、別れがある。出会いの期待感や別れた後の余韻など、物語の起承転結のような流れを考えながら構成されているなと感じました。

 

ーよく気づいてくださりました(笑)
Atsumiさん自身が旅を文章にすることの魅力はなんだと考えますか?

旅をすることそのものは、マネキン人形を買ってくるだけのことかもしれません。後から思い返して書くことは、そのマネキンに似合う服を着せていくような作業なのかなと思いますね。つまり、旅に行って意味を感じるのは、もしかすると旅から帰ってきてからなのかなと。
旅に行った瞬間の感動は、やがて薄れてしまうものなのかもしれないのですが、日常に帰ってきてから旅をしたことの意味が生まれたり、思い出として飾り上げることもできる。それを文章化する作業の中で、旅の意味が論理的に整理されていくのだと思います。

【展示の様子】過去のタビノコトバ展の様子を写真で振り返ります

 

ー作品をつくることで、自分では気づかなかったことが見えてくるってことってありますよね。

タビノコトバの冊子も、いろいろな人の写真や文章があった中で、どれを選ぶかはSOGENさんたち企画者の方が考える「旅」への意識や気持ちが現れているんだろうなと思いましたね。第1回から第3回と回数を重ねていくことで、どんな風に変化していくかも楽しみにしています。
興味関心のある人と繋がっていける機会は貴重で、タビノコトバはそういうプラットフォームになっているのでありがたいです。

 

こちらこそ、参加して頂いて本当に感謝しています。ありがとうございました。

第3回タビノコトバでは、作品を募集しています

現在、第3回タビノコトバでは「旅の終わりに」をテーマに文章・写真作品を募集しています。締切は2020年7月20日までとなっています。

【第3回タビノコトバ募集要項】旅の文章・写真を本にまとめて展示会を開催

Ryuji Atsumiさんの作品が掲載された第2回タビノコトバの冊子は、こちらから購入できます。
https://tabinokotoba.stores.jp/

また、他の作品は過去の作品ページからも見られます。

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