【作家インタビュー⑥】タビノコトバ連載作家Mikiさんインタビュー

タビノコトバの過去の採用作家へのインタビュー記事

2016年から2年に1度開催しているタビノコトバは、現在第3回の募集期間中です。
【第3回タビノコトバ募集要項】旅の文章・写真を本にまとめて展示会を開催

そんな過去のタビノコトバに掲載された作家にインタビューし、旅を文章にすることについて語ってもらう企画の第6弾。
連載作家として当HPで「あちこち旅して考えた」をテーマにエッセイを連載してくれているMikiさんに、旅を文章にすることへの思い、書くことの楽しみについて話を伺いました。

※過去のインタビュー記事※
【作家インタビュー①】茂木麻予が語るタビノコトバとは(前編) 【作家インタビュー②】山崎陽が語るタビノコトバ 【作家インタビュー③】タビワライフが語るタビノコトバとは 【作家・支援者インタビュー④】Rucocoが語る「旅を文章にすること」 【作家・支援者インタビュー⑤】加藤亜由子が語る「表現すること」

第2回タビノコトバ掲載作家のインタビュー⑥ Mikiさん

書く準備みたいなことはできていた

ーもともと文章は書くような表現活動はしていたのですか?

作品づくりとかではないですが、日記は書いていましたね。高校の頃から毎日のように思いの丈をノートに書いていました。
もともと話すことが今より苦手だったので、自分の気持ちをその場で整理できなかったこともあって、書くことでストレス発散になっていたように思います。

 

ーそれを誰かに見せたり発表したりすることはないですよね?

見せられないです(笑)
自分に向けて書いているので人に見せることはないですね。もちろん、旅に出るときも書いています。

 

ー前回の作品も日記がベースですもんね

そうですね。日記から記録と記憶をテーマに書きました。


mikiさんの採用作品

 

ーでは、そこから作品を書こうと思った動機や背景は何だったんですか?

第2回のテーマが「気づき・成長・再発見」だったことか大きいです。
その頃、自分の旅が形にならず積もりもせず、なんとなく流れていくことが嫌だなと思っていて、なにかしら形にしたいと思っていたんですね。
そんな時にタビノコトバを見て、自分が旅したアタカマのことを書けばいいんだって自然と思えて書き始められました。きっと、気持ちの面を含めて書く準備みたいなことはできていて、あとはきっかけだけだったんだと思います。

なにかのきっかけがないとわざわざ過去のことを掘り返してまとめようと思わなかったけれど、たまたまテーマを見たときに自分が書きたいこととか残したいことと一致しているような気がして書けました。

 

ーこれまでとは違い、人に見せる文章を書いてみてどうでした?

書いたことで、いろいろな気づきがありました。
自分が大事にしたいことや大切にしたいことを言葉にできたことによって、気づけたことがありますね。

あとは、人に読んでもらったことで、違う視点からの感想をもらえたことが新鮮でした。
編集者の方の話も貴重で、客観的な視点から「この箇所ってこれがポイントなんじゃないの?」と伝えられると、それが自分でも気づかなかった視点だけど的を得ていて、面白かった体験でしたね。

 

ー人と文章作品をつくることってなかなかない機会だし、楽しい作業ですよね

そういうことは初めてだったので楽しかったですね。
SNSに文章を書いて、友人から感想をもらうのとは全く違う経験でした。

 

旅で得たことが日常生活でも影響を受けることがある

ー連載作品を通して、人に見てもらう記事を書くことが増えましたよね。書き方の変化とかってありました?というのは、連載を通して文章がどんどん素敵になっていると思っていて

余計なことをあれこれ書くのが好きで放っておくとどんどん膨れてしまうので、シンプルにすることを心がけました。
細かいことや空気感を書きすぎることで逆に伝わらなくなることもある、ということを感じるようになりました。

※Mikiさんの連載エッセイ※
【作家インタビュー⑥】タビノコトバ連載作家Mikiさんインタビュー 第2回採用作家Mikiの連載 「あちこち旅して考えた」(5) 誰かの特別な朝 第2回採用作家Mikiの連載 「あちこち旅して考えた」(4) キルギス、キューバ、東京、それぞれの地で 第2回採用作家Mikiの連載 「あちこち旅して考えた」(3)フィルターとベクトルの話 第2回採用作家Mikiの連載 「あちこち旅して考えた」(2)致命的弱点の話 ※SOGENが最もオススメするMikiさんの連載記事※

第2回採用作家Mikiの連載 「あちこち旅して考えた」(4) キルギス、キューバ、東京、それぞれの地で

 

ーMikiさんの作品は読後感がとてもよいですよね。読んだ後に余韻が残ります。

ありがとうございます。もしかすると、日常を送りながら振り返っているからかもしれませんね。
旅の最中だけではなくて、旅を終えて振り返ったことが日常生活でも影響を受けることがあって、そういうことは文章でも繋げていきたいと感じています。そう感じていることが文章に現れたのかもしれないですね。

タビノコトバに掲載されている他の方の文章も、ただどこかへ行った、なにを見た、感動した、というような旅行記ではない文章を書かれているし、自分自身もそういう文章を書きたいなと思っています。

 

ー実際に採用されてみて文芸誌に掲載されて、展示会で展示され、同じように採用作家と出会い、連載記事をもった。どんなことが印象に残っていますか?

まずは、冊子になって展示会をしてもらったことで自分の全く知らない人に文章を読んでもらう機会があったことですね。採用された時に、まずそれが楽しみでした。

冊子になったり展示してもらえたり、形になるってことが喜びにありましたね。

 

ー僕らが作家さんに対してなにかできることはないかなと活動していることが喜んでくださっているとわかって、嬉しいです。

ほんと、超嬉しいです(笑)

 

ー実際に展示会場に来てくださり、いろいろな作家の方と交流があったことはいかがでした?

旅中にたまたま同じ宿になった人たちとの出会いみたいでしたね。
なにか共通の思い出があるわけでないけれど、旅が好きで、文章や写真を撮るのが好きで、そういう共通点のある人たちと話せるのが面白かったです。
トークイベントでご一緒させて頂いたATSUMIさんの「ミスをしない旅」ってのが今でも衝撃で覚えています(笑)

今回一緒に連載をしていた方々との出会いは、いろんな旅の形があることを改めて感じさせてくれて純粋に楽しかったですね。

【展示の様子】過去のタビノコトバ展の様子を写真で振り返ります

 

自分の心を豊かにすることが、自分の旅を豊かにする

ータビノコトバは現在第3回の応募期間です。応募する人に、作品づくりをすることのオススメみたいなことってありますか?

文章を書いて整理することで、自分がなにに心を動かされたのかがわかったことが、すごくよかったです。
皆さんそれをわかってて書いているのかもしれないけれど、私の場合は書くことで自分の感覚の根拠というか正体みたいなことがわかった気がして、それがとてもよかったです。だから日記も書き続けているのかもしれない、と思えましたね。

 

ー僕も書くときに、なんとなくの引っ掛かりから書き始めて、書くことでどんどん気づくことがあって、まとまっていきます。

書くことは、そういう発見ができる機会ですよね。普段生活をしているだけだったら立ち止まることもしないし、突き詰めて考えないですよね。

 

ー今後、書くことや旅をすることに対して、未来の自分がこうなっていたい、こんな関わり方をしたいってありますか?

他の連載している旅人たちもそうですが、旅を見る視点の面白さがあるなと感じます。
インタビューアーのSOGENさんは本をたくさん読んでいて、気になったことをメモする習慣なんかもありますよね。それが文章に活きている気がして、自分の旅をもっと面白くするには、物事を面白く視る目を養うことが大切なんだなと感じています。
いっぱい本を読んだり、新たな考えに出会ったり、なにかを見たり。自分の心を豊かにすることが、自分の旅を豊かにすることに繋がるんじゃないかなと考えています。

いいなって思う作家さんのエッセイに出会うと、こんな視点で旅を見ているんだという気づきがいっぱいあるので、素敵な旅をしたり素敵な文章を書くには、そういうインプットが今からでももっとないと書けなくなってくるんだろうなと感じます。

自分が書いた作品や連載は過去のインプットが元になっているような気がしていて、新たなものを取り入れていかないと、自分の中から新しいものはでてこなくなるような気がしています。

※インタビューアでもありタビノコトバ企画者でもあるSOGENがオススメする「旅の本・紀行文20冊」※

心からオススメできる面白い「旅の本・紀行文20冊」

 

ーその考え方、いいですね。写真なんかも「写真家は、視る仕事だ」って言っていた人がいた。その写真家の視点で素晴らしいと思ったものを捉えているのが写真の形だから、多分一般の方と見えているものの解像度が異なったりする。当然、これまでどんなインプットをしてきたかは作品に影響を受けますよね。

そうですよね。
それこそ政治や経済や歴史とかを深く知ることで、旅で見える景色が変わるような気がしています。

 

ー過去の他の方の作品で好きな作品はあります?

連載をもっている作家さんの記事を読んでいて、いつもいいなって思っていました。
茂木さんの作品は「旅で出会った人たち」がテーマで、登場人物も魅力的で、会話が物語みたいになっていて、自分には書けないけれどとても興味深く読んでいます。

第2回採用作家・茂木麻予の連載 「旅で出会った人たち」(3) 「旅立ち」の意味

 

ーさて、第3回タビノコトバは前回に比べて採用作家さんたちがより参加しやすい形にしようと計画しています。

とてもいいと思います。
展示をしたり、自分の作品がこうやって形になっていくんだという過程に携われることで、楽しさとか達成感が増すはずです。前回は展示や文芸誌を作ってもらって完成したものをタビノコトバとして受ける形だったので、それらに参加させてもらえるならより楽しめそうですね!なにかを一緒に作るのって楽しいですよね。

ーそうですね、ぜひまた参加してください!ありがとうございました!

こちらこそ。第3回も楽しみにしています!

第3回タビノコトバでは、作品を募集しています

現在、第3回タビノコトバでは「旅の終わりに」をテーマに文章・写真作品を募集しています。締切は2020年7月20日までとなっています。

【第3回タビノコトバ募集要項】旅の文章・写真を本にまとめて展示会を開催

Mikiさんの作品が掲載された第2回タビノコトバの冊子は、こちらから購入できます。
https://tabinokotoba.stores.jp/

また、他の作品は過去の作品ページからも見られます。

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