【タイムスリップしたかのような世界】加計呂麻島の暮らし

募集期間が残り14日間となりました。
募集期間の後半戦になり、最近は毎日応募が届いているような状態です。

みなさんから送られてくるタビノコトバを早く発表したいなーと思うこの頃です。

さて、今日は加計呂麻島に住んでいる絵描きの話を書きたいと思います。

同期との出会い

初めて働いた職場には9人の同期がいた。

年齢も性別も出身地も様々だったが、たった1つ「同期である」という共通点だけがそれぞれの繋がりを強くしているような、そんな関係だった。

僕らは仕事帰りにたまに集まってはそれぞれの近況を話し、誰かが結婚したといってはお祝いをし、時々誰かの家に行って、だらだらと話したりもした。

 

青木さんとの出会い

同期の中の一人に「青木さん」という男性がいた。
美術学校で油絵を専攻していた彼は、確か年齢は僕よりも5つか6つ年上で、いつもなにかにカリカリしていた。
正義感の強い彼は、誠実に仕事に取り組んでは「ほんとバカばっかりだよ」という言葉を口にすることがよくある気難しそうな男だった。

でも、僕にとっては猫好きでよく喋る気のいい奴だった。
一緒に働いていた期間は4年間くらいだったと思う。
その間にアオキさんとはよく話をした。
僕の家に来たり、彼の家に行ったり、似顔絵をプレゼントしてもらったりなんかもした。

奄美にある加計呂麻島

奄美大島の南に加計呂麻島と書いて「かけろまじま」と読む珍しい名前の島がある。

青く透き通った海に囲まれ、陸地のほとんどが深い森に覆われた中に、人口1300人ほどが島の伝統を継承しながら静かに暮らしている島だ。

出会ってから数年後、僕は世界を旅するため、彼はその島に移住するために、二人はそれぞれ仕事を辞めた。

 

それから数年後、「いもーれ奄美へ」と描かれたポスターに出迎えられて、僕は奄美空港へ降り立った。

一緒に勤めていたときには考えられないようなボサボサの髪をしたアオキさんは、一緒に勤めていたときよりも穏やかな笑顔を浮かべて僕を出迎えてくれた。

 

加計呂麻島は、奄美空港からバスを2本乗り継いで2時間、奄美大島最南端の古仁屋港からフェリーで20分渡ったところにある島だ。

さらに彼の住んでいる集落は到着した港から車で15分ほどのところにあり、9世帯14人が静かに暮らしている場所だった。

美しい青色の海まで徒歩30秒、目前には深い森と山があり、青と緑に囲まれた、まるでタイムスリップしたかのような気持ちにさせられるのどかな集落だ。

 

加計呂麻島での生活

彼が移住した当初に住んでいた古い家は、過去数十年で最大級という大型台風の影響で屋根が吹っ飛ぶという事件があったり、ガスもシャワーもない生活を選んでいるので、いちいち薪で火を炊いて調理をしたりお湯をためたり、

ガリガリの文化系の彼が、集落の伝統行事で毎年一度豊年を祝うために回しをつけて相撲をとったりしながら、アオキさんは、なんだか活き活きと暮らしていた。

 

なによりも、あんなにカリカリしていた青木さんが、とても穏やかな顔で過ごしていた。

彼は今日も青い空の下で大好きな猫に話しかけながら絵を描いているんだろうか。

そうだといいなと思う。

 

そんな彼は、僕が遊びに行った数年後に加計呂麻島でゲストハウス「カムディ」をつくった。
ぜひ遊びに行ってみてください。

あなたのタビノコトバを聞かせてください。

募集期間は9月4日まで。ご応募お待ちしています!

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