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「旅が好きなんですね」
1年半ほど旅をしたという話になると「旅が好きなんですね」と言われることが多い。
「ええ、まあ」と適当に相槌を打つのだが、果たして僕は旅が好きなのだろうか。
どうにもピンとこないというのが素直な感想だ。
今日は、自分が旅に出る理由について、考えてみたいと思う。
旅の前はいつも憂鬱になる
旅の前日はいつも憂鬱になる。
旅に出ることで日常に比べて精神的にも肉体的にも過酷な環境に身をおくことがわかっているからだ。
狭い飛行機に何時間も乗る。
無事に現地の空港へ着いたと思えば、わけのわからない客引きに混乱させられながら、疲れた頭をフル回転することになる。
頭も体も非常に消耗する。
旅のあいだは体幹トレーニングになるようなガタガタと揺れるバスに乗ることもあるだろうし、水分を吸い過ぎてふにゃふにゃになった麺を食べなければいけないことも、もちろんある。
山を登れば寒い夜を何度も過ごし、お腹を壊しながらもハアハアと息を荒げ、特になにがあるわけでもない頂を目指して歩き続けることになる。
早く帰ってベッドに寝転がりながらパソコンを開き、なにも考えずに過ごしていたいという欲求がわいてくる。
心が楽なことを求めていく。
暖かい部屋、肌触りのよい毛布、おいしい食事。
こんな幸せな空間から外へ出る理由なんてどこにあるのだろう、といつも考える。
それでも旅に出たいという欲求が生まれてくるのは、やはり自分が見たことのない景色や暮らしや人々を、自分の肌で感じたいからなのだろう。
寒くて息苦しい山の上から見る景色は美しいだろうな。自分が見たこともない暮らしや文化を目の当たりにするとびっくりするだろうな。
まだ見ぬ世界が驚き溢れる世界であることも同じくらいわかっている。
だから僕は旅に出るのだろう。
憂鬱な時間があったとしても、自分がまだ見たことのない世界に出会うことができるから。
それに触れた瞬間の喜びは、全てをチャラにするとまでは言わないけれど、また旅に行こうと思うには充分な感動がある。
これが、僕が旅に出る理由ですね。
みなさんが旅に出るのは、どんな理由ですか?
あなたのタビノコトバを聞かせてください。
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